勇猛果敢に行動してくれた愛犬に感謝です。

保護犬を飼うことのきっかけは突然やってきました。近所の別荘地で飼われていたミックスが放置されていて、保護団体の知り合いから里親になって欲しいと頼まれたのです。中型の黒い毛の男の子でしたが、人間に見放されたにも関わらず、人間のことが大好きのようで、誰にでも懐くような優しい性格でした。家内は、子供の頃から犬を飼っていた経験もあって、その依頼に暫く相談の上、家族の一員に迎え入れることにしました。毎日の散歩が大好きで、新しく人間の両親になった自分たちをいつも振り返り確認しながら、散歩する様子を見ると、また、いなくなってしまわないだろうか、と心配しているのかと思われて、なお一層大切にしてあげようと可愛がる毎日でした。

自然が多い我が家の周りでは、大いにはしゃぎまわって遊ぶ姿が近所でも評判で、多くの近隣の方々にも可愛がっていただきました。一度、川の近くで散歩しているときに、突風に襲われて、お気に入りのアポロキャップがその風で吹き飛ばされてしまったことがありました。風の勢いがことのほか強いこともあって、川の中にポチャリとその帽子が入ってしまい、冬場のことでもありましたので、川の中に入っていくことも出来ずにいました。流れ去るその様子を残念に思いながらみていると、我が家の新しい息子が勇猛果敢に川へ飛び込み、懸命に帽子を追いかけて咥えて戻ってきたのです。

帽子のことよりも、犬の方が心配でヒヤヒヤ、ドキドキしながら見ているしかなく、えらいことになってしまったと思ったのですが、びしょびしょになりながら無事に戻ってきてくれた時には、こちらも水浸しになりながら抱きかかえて少々大袈裟ですが生還を喜びました。彼は、とっさに人間のお父さんの大事なものを取りに行かなくちゃと思ってくれたのでしょうか、本当に賢い子でした。残念ながら、飼い始めて半年ほどで腎臓を病んでいることが解り、虹の橋を渡って行ってしまいましたが、今も、その子の写真の笑顔はいつも我々家族を見守ってくています。