初めて犬を飼った時の話

うちの両親はあまり動物が好きではありません。そのため、我が家ではなかなかペットを飼うことはできませんでした。しかし、姉と私は犬や猫を飼ってみたいと常々思っていたのです。そんな時、父の田舎へ夏休みを利用して泊まりがけで家族みんなで行ったことがありました。田舎で産まれた子犬たちの引取先を探していたところを訪れたため、我が家にも一匹くらい貰ってくれないかと言われたのです。とても可愛い子犬ばかりで、そのうちの一匹が垂れ耳で特に可愛く、姉も私もその子犬が欲しいと思いました。両親を説得し、子犬の世話はちゃんと自分たちですると約束をして、どうにか田舎からその子犬を連れて帰ってくることができたのです。

それからというもの、犬の散歩は姉と私が学校から帰ってくるとやるようになり、えさやりは母というように役割を決めて飼うことになりました。姉も私もきちんとお世話をしていたと思います。とにかく可愛くて、お世話をすることに苦痛を感じることはありませんでした。

ところが、子犬のままでいるわけではありません。だんだんと成長していき、次第に家の中で飼うことはできなくなってしまったのです。犬小屋を父が庭に造り、ほとんど外で飼うようになりました。大きくなってくると散歩に連れて行くのも大変です。姉も私も中学生になると勉強のみならず、部活動なども忙しくなってしまい、犬の散歩登板をサボりがちになってしまいました。

結局、犬のお世話をするのは母がメインとなり、姉も私もあまり犬と遊ぶ機会がなくなってしまったのです。やがて老犬になっていき、自然と散歩もできなくなりました。飼い始めてから8年で亡くなってしまったのですが、さすがにその時は姉も私も号泣でした。最後の方はお世話をしていなかったにもかかわらず、この8年ですっかり家族の一員として認識していたからなのかもしれません。

悲しい別れとなってしまってからは、生き物を飼うことに抵抗感が出てくるようになりました。両親もお世話が大変なことや辛い別れを体験したくないという理由で、それ以来、生き物は飼っていません。だからこそ、初めて飼った犬のことは記憶に残っています。